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barcarole

大作からB級まで、たまにミーハー、たまに毒舌な感じで感想を綴っています。
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  • 04/30/04:10

エレクション 黒社會

久々に見た香港映画。
映画を見なかった理由は、時間がなかったからなのですが…だるい体を引きずりながら、映画館まで行った甲斐があった!!


えぇと、映画そのものは非常に地味です。
派手なアクションは殆どないし(あるっちゃあるけど…派手ではない。すげー痛そうだけど)、若くて美形なおにいちゃんも殆どいない。
いや、うちは結構味のある顔の人好きなんですけどね。
でも、何より、画面に溢れる山のようなおっさん…こりゃ若い人にはウケないだろうなーと思いつつも、普通に見ててすっごい面白かった!!

ストーリーは難解さはなく(強いて言うなら、おっさんばっか出てくる為に、顔の見分けがつかずに混乱するw)、真っ直ぐ一本道な感じ。
香港でも最大規模を誇るマフィアの次期会長を決めることになりー、実力者2人が争う、という…。
んで、会長の証となる「竜頭棍」を先に手に入れた者勝ち、って状態になり(最早選挙の意味ないのではw)、頑張って頑張って…。

面白かったんだよ、うん。
ストーリーシンプルだけど。

まず、ストーリー追っかけ視点から。
序盤、ある巨大な組織の会長選挙の前哨戦の様子から始まります。
選挙というか、まぁ挙手してるし選挙ではあるけども、かなりの部分談合に近い感じです。
この映画では、「組織に忠実に生きる」ということと、「同輩・義兄弟を敬い、実の家族のように固い絆を持つ」ということを、これでもかー!とばかりに主張しているのですが、そこが影響しているものと思われます。
組織に入り、そこで長い間にわたって組織に忠実に働いてきた「長老」連中の言葉には重みがあり、中でも、タン(ウォン・ティンラム)の言葉はすげー決定権を持っていそうな感じ…。
買収されたり脅されたりで、彼ら(老人ホームかと見紛う程に、老人ばっか10人近く…)もそれぞれの思惑を持っている。
けれども、最後まで彼らを貫く一本の道筋、それが、「組織」を第一に置く視点。

ここのつくりは、地味で渋いけど、だからこそに活きてくるんだなぁ…。
彼らの主張の中から、主人公二人の人となりが分かり、彼らの主張が分かり、彼らのやり方がわかってしまう。本人は画面出てないっつーのにw
対立軸が明瞭で、かつ説明調にならずにきちんと観客に状況を伝える、これは最低限なんだけどー、そういうのが出来てなくて、「意味不明…」のまま30分くらい過ぎちゃう映画もあるからねー(ぁ。


んで、選挙の終了と会長の決定。
内部抗争に発展する可能性を孕む中で、警察がある程度舵をとる為に、根こそぎ幹部連中を逮捕…というのは、香港映画では割とよくあるパターンの気がするのだけどもー…これ日本でやったら大問題じゃ?wとかちょっとだけ思います…。
なんだろー、こういう黒社会を完全に廃絶するんじゃなく、コントロール出来る範囲に抑制する、というのは、割とどこの国でも、どこの社会でも同じなのかなぁ…。
はっきり言って日本では根絶してくれて構いませんが…(ぁ。
でも、一般人からすると傍迷惑だし、てか怖いし、出来ればいなくなってほしー!と心底思うわけですが、裏を返せば、曲がりなりにも組織となっているからこそに取り締まれる、という部分もあるわけで…。
そこら辺の許容というのは必要悪なんだろうけどもー…香港映画だと、かなりなぁなぁなことが多いのですがgggg…実際もこんな社会だったら怖いなぁ…。
あ、でも、この映画の警察はかなりマシな方だった。きっちり働いてたし(ぁ。

んでもって、ここにきて、会長の証となる「竜頭棍」の存在が明らかにw
組織に100年以上?にわたってトップの証として存在しているもので、今回も、儀礼と歴史と慣習を重んじるからこそ、当然ロク(次期会長に決定した方、サイモン・ヤム)もこれを手に入れたい。
けどもー、それを預かっていた会長のチョイガイが、ディー(負けちゃったほう。レオン・カーファイ)に脅されてそれを隠してしまい~と言う辺りの作りがいい感じ。
竜頭棍を探す部下達の動きと、塀の中で(留置場の中で…w)それぞれに思惑を秘めて動く幹部連中の温度差は、映画として一貫性がないと見る向きもあるだろうけれども、逆にいい刺激になっていたかと。
いくらなんでも、竜頭棍を探すシーンすらなかったら、本気で眠くなったに違いない…。

ここら辺で、若手が大活躍。
早くもパート2が決定しているようですがー、そっちでメインに持ってきたいんだろう若手を活躍させている手法というのは、言っちゃなんだがインファナル~を彷彿とさせるねw
ま、あっちのほうは、全然交わる部分はなかったんですけども…。
しかし、暗いシーンが多かったせいか、若手のほうが寧ろおっさん連中よりも見分けつかなかった、なんてのは内緒です。
ルイス・クーのカッコよさを本当は出していきたかったんだろうけども、ルイス・クーよりも、正直に言えばニック・チョンのほうが輝いてたw
そして、普段は情けない役の多いラム・シューが、まぁ殴られてぼこられてへたってるだけなんだけども、非常に良い味出してた。ラム・シュー、すげー!!と感動してきました…。


で、例の如くネタバレ。
無事竜頭棍も手に入れ、ディーともなんとかかんとか和解して、ようやくトップに立ったロクですがー。
ディーがあんだけ嫌ってたロクに対し、ころっと態度変えてる辺りは、ある意味中学生脳というか…素直で大変よろしいかと。
しかし、中学生脳だけあって、どうしてもすぐに調子に乗っちゃうんだよね…。

んで、最後のあのシーンに繋がる、と…。


ロクの基本的に冷静で仲間想いの部分と、粗暴で単純明快なディーの対比は、まぁ圧倒的にロクの勝利かと。
どう考えても、自分のトップとして動いてもらうに、ディーは危険すぎる。やらんでいいことやりそうだし、言わんでいいこと言いそうだしな…。
強い兵隊は必要だけど、強い奴は頭に立つ必要はないんだよね。必要なのは頭脳。これは、どんな組織でもそうなんじゃないかなぁ。
カリスマを持った人間がトップに立って、頭の切れる人間がNo.2の位置にいる、というのも、それはそれで理想的な形ではあるんだけども。でも、そこにはどうしたって、割と家族愛に近いくらいの信頼関係が必要で、それはかなり難しい。
それぞれがそれぞれの利益の追求をしながら、それでも組織として一枚岩でやっていく為には、ロクのように、調和的思想の持ち主じゃなきゃ無理じゃないかとw


んで、その他の感想。
まず…タンがすごい可愛かったwwwwwwwww
すっげーおじーちゃんなのですが、おなかがもう、ぽこーんと突き出てる体型でー(高木ブーよりぽこんとしてる)、でも留置場ってベルトとか全部預けるじゃないですか…。
歩いてるとズボン落ちるからって、サスペンダー外した後、ずーっと手でズボン押さえて歩いてるの…。
すげー可愛い。無駄にときめいた…。

あと、ディーは幾らなんでも、粗暴にも程があるだろう、という感じ。
正直に言わせてもらえれば、いや、よくNo.1を狙える地位まで成り上がる間、生き抜いてこられたよな、と…。( ´,_ゝ`)

(。-`ω´-)ンー…
あとはー…ジミーが大学らしき場所で英語で経済学の講義を受けているシーンがあるのですが、あそこは普通に謎だった。
いや、頭がよくてインテリ系ってのを強調したいのは分かるんだけども、そんなエリートちゃんがどうして一体、マフィアなんぞに属しているのか?w
そもそも、根本的に…ジミーが凄くなんというか、冷静で知的で、周りとは大分タイプが違う、というのを出したいんだろうなーってのは分かるんだけど…。タイプ違いすぎて違和感がヒドイw
個人的にはルイス・クーは嫌いじゃないんだけどねー…。


総評。
これは面白い。
香港映画のノワールというのは、スピード感があるものが多くてかなり好きなのですがー。正直に言って、二番煎じのものは本当に多いし、あと、無意味にアクションアクションしているものも多い。
その中にあって、組織の会長選挙という地味~なテーマを持ってきて、ド派手なアクションは控えて、駆け引きに焦点を当てたこの映画は、かなりの出来栄えだと思います。
2時間近くの映画で全く飽きさせず、中だるみもしないし、かといってストーリーが難解なわけじゃない。
おっさんばっか出てくるけど、そのおっさんの一人一人の演技が、なんだろう…燻し銀の味わいというか…w
一人一人が「輝く」んじゃなく、言うなれば、群像劇の中で決してそこにスポットライトを当てているわけじゃないのに、そのスポットライトから敢えて外すことによって生み出される陰影ってのがあるな、と思うのですが。


どうしてもアクションに偏りがちな作品の多い映画の中で、この映画は、かなり死人の数が抑えられているほうだと思います…w
一部突発的に死体が大量生産されますけども…( ´,_ゝ`)
でも、そこ以外の殺人は本当に少ないし、そして、その必然性、そこに至るまでの感情というのに共感出来るからこそ、ただのノワールとは一線を画した作品になっているんじゃないかと。

まー簡単に言うと…これは面白かった!
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